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最高裁判所第三小法廷 昭和27年(オ)237号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人の上告理由は別紙のとおりである。

原審の確定した事実によれば、訴外小倉証券株式会社は、昭和二四年中本件各株金払込領収証に被上告人等名義の偽造の白紙委任状を添えて、これを訴外末藤堅人に対して交付し、同人は更に上告人に対する債務を担保する目的を以て同年中右各株金払込領収証を前記偽造の白紙委任状とともに上告人に交付したものである。ところで株金払込領収証に添付された白紙委任状が偽造であるときは、右領収証の法律上の性質を云為するまでもなく、その交付をうけた譲渡人は有効に質権を取得するものではないから論旨第一点は理由なく、又たといその譲受人が善意無過失であつても改正前の商法二二九条一項又は五一九条を準用すべきものではないから論旨第二点も亦これを採用することができない。その他の論旨は「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」(昭和二五年五月四日法律一三八号)一号乃至三号のいずれにも該当せず、又同法にいわゆる「法令の解釈に関する重要な主張を含む」ものと認められない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 井上登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)

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